2016.10.25 スタッフ
スタッフブログ

レリーフ模様の空間効果

総合企画室 デザイナー

こんにちは。デザイナーsuzukiです。

先日の「海外研修in台湾」では、現地の空気感を色々感じることができました。
今回は中でも、私が注目したポイントをご紹介します。それは「レリーフ効果」。

KAJA DESIGNでもオリジナルのレリーフをご提案してもいますが、空間へのアクセント使いのように、ポイントとして使い方が多いのですが、台湾での「レリーフ」使いは、とてもナチュラルというか、当たり前のように取り入れられていたことです。

例えば、普通の飲食店の窓際。デザイン違いの模様がバランスよく、外界と程よく別世界のイメージに。外側からは照明含めたチラ見せが効果的でしょう。

こちらは大きなガラス扉。室内側に施されたレリーフが、やはり外側へもシルエットと共に意匠性を感じさせます。

天井面では、折り上げ天井面では奥行き感を。梁型のデザインは浅めに彫られたデザインと色合いは相互的に対称ととなり統一感の中に圧倒的な存在感となっています。

この天井の手法は、西洋的なモールディングとメダリオンとも似ているようで、天井面の装飾性を高めています。

ふと、台湾でのこの手法の背景はなぜなのだろう?と自分の中でも探求心が目覚めます。
そもそも、西洋でのモールディング等の装飾は天井と壁、壁と天井などのぶつかるところを見切り材として、また保護しつつ装飾性もあったり。現在では、エレガントやクラシカルなどのデザイン性のポイント要素としも、輸入住宅的な空間には多く取り入れられています。

ちなみに、KAJA DESIGNはあまりこうしたモールディングのイメージはないかも?しれませんが…実は、方向性によっては存分に取り入れている場合もあります。モールディングはデザインが同じようでニュアンスのバリエーションが多く、その大きさ、出幅、曲線などなど、かなり細やかにチェックしながら提案・デザインをしています。
現在私が手掛けている案件でも、効果的にデザインし、とても素敵な空間に仕上がってきています。また西洋建築でのメダリオンとは、シャンデリアやペンダント照明の天井で装飾性のある台座となり、平面的な天井面に華やかさをプラスしてくれます。

例えばこのメダリオンは西洋では、名のごとく円型のものが多いのですが、台湾でのレリーフデザインの全体的な特徴としては、私は「スクエア」がとても多かったように感じています。
その理由には建築様式や歴史などとの深い部分もあるかと考えられますが、一つには安定感のある左右対称をより大切に考えるところの表れのようにもとれます。

実際に、大空間でというよりも庭園含めた巨大エリアでも中心に立ち、果てしないほどの左右対称に身を置いてみると、潔いくらいのバランスの良さが染みわたり…心の中までシャキーンと真っ直ぐに安定するような気さえしてきます。

そうか!もしや「レリーフ効果」の気付いていなかった効果をひとつ、発見してしまいました。私自身は、今までは「レリーフ効果」の大きなポイントとしては

  • 装飾性
  • デザイン性
  • 間仕切り性
  • アクセント

などなど、「空間をやんわりと装飾的に区切るのに最適」と考えていたのですが…それだけではなかったのです。その面を基準に、「空間をシンメトリーに分離することもできる!」意味通じますか?

面で区切られるという発想だけでなく、面を断面の線で、それぞれの空間を左右に考えてみてください。
それぞれの空間でその面が背中合わせで展開されていくのです。なるほど、台湾で私が「レリーフ効果」に心地よい安定感を感じたのは、その奥行き側に手前と同じような空間の存在を自然と感じることができたからなのかもしれません。
(彫りのデザインの透過性でも変わってきますが)この緩やかだけれど効果的な「レリーフ効果」今後の空間創りにも意識的に取り入れてみようとも考えています。

仮にも、このうっとりするほどに美しい…国立故宮博物院:「清朝 翡翠の屏風」を置いたとします。
48枚の翡翠でできていて、驚くのは両側の彫りがまったく同じだということ屏風。ここで仕切られたかのようである両側の世界は、実は裏表のない対等な世界になるのかもしれません。
昭和天皇のもとにありましたが、終戦後返却されたというもの。実はそうした意味が込められていたのかもしれない?というのは深読みしすぎでしょうか?

今回の台湾で、私が感じた「レリーフ効果」を独自の目線で語らせていただきましたが。要するに、「レリーフいいね!」という再確認でもありました。最後にもう一つ。こんなとこにも「レリーフ効果」?!(この場合は、外観のデザインがレリーフ模様で程よい装飾性)

壷のようなデザインが緑に映えています。何だと思いますか?…
それです!それ。公園に置かれた「ゴミ箱」。上部は灰皿になっていて、素材は鋼鉄系ズッシリした安定感でありながら、公園という空間に「ゴミ箱」っぽさをひた隠し、シレっと共存している感じがたまりませんでした。何事にもデザイン力!そんな気持ちも再確認した有意義な研修でありました。