旅の価値は、建築雑誌に載らない空間の魅力に気づけること - インドネシア研修参加者の声
”世界を旅する建築会社”ことカジャデザイン。
2018年10月18日〜10月24日で、インドネシアへと研修に行ってきました。
目的は、カジャデザインのルーツともいえるインドネシア・ジャワ島にある「AMANJIWO」をはじめとするリゾート空間の視察。
普段なら社員だけで行くところ、今回はカジャデザインの住まいづくりを支えてくれるパートナーの方たちにも同行いただきました。
そのひとりが、建築設計事務所である長沼アーキテクツ株式会社の代表取締役社長 / 一級建築士の長沼幸充さん。
これまでカジャデザインの住まいを数多く手がけてきた建築設計のプロフェッショナルです。
彼はなぜ私たちの研修に同行してくれたのか。同行を通じて何を得たのか。ぜひいろいろ聞いてみたいと思います。
カジャデザインに関わったきっかけ
そもそも、なぜカジャデザインと仕事をしようと思ったのでしょうか?
長沼さん
きっかけは5〜6年前、カジャデザイン側からのお問い合わせです。
もともとは28歳で独立して、個人住宅の設計一筋。木造住宅のSE構法に関する実績があったため、カジャデザインから問い合わせいただいたんだと思います。
ただ、恥ずかしながらカジャデザインのことは知らなくて。普通の工務店だと思っていたのですが、「まずは一度話を……」ということでオフィスに足を運びました。ところが、ショールームを見てびっくり。「リゾート」というコンセプトが明確で、かつクオリティも高い。とにかく驚いたのを覚えています。
正直、今まで長沼さんが手がけてきた住宅とは全く異なるジャンルだと思います。不安もあったと思いますが、それでも挑戦したのはなぜ?
長沼さん
大前提として、新しいチャレンジに抵抗があるタイプではないので。声をかけていただけたことは嬉しかったし、自分にとっても経験を積むチャンスだと思いました。
不安があったとしたら2つ。1つは、カジャデザインのコンセプトに魅力を感じて依頼してくれているお客さまが納得できるだけの価値を自分が提供できるか。もう1つは、お客さまと実際に会ったときに自分の言葉で提案できるか。
ただ、直近でやらなければいけない案件があったわけではないので、「とりあえずやってみよう」と気持ちを切り替えたのを覚えています。
実際に案件がスタートしてからはどうでしたか?
長沼さん
問い合わせから半年後ぐらいですかね。2件相談を受けました。
正直なところ、カジャデザインの特徴のひとつである「石材」に関する理解はまだまだ浅かったのですが、自分なりに調べながら図面を引きました……結果2つとも成約できて、ホッとしたのを覚えています。
実はそれ以降も長沼さんは成約率が非常に高いんですよね。その要因は何だと思いますか?
長沼さん
うーん……なんでしょう。強いて挙げるとするなら、ヒアリングを一番大事にしているということかもしれません。
カジャデザインにも専用のヒアリングシートがありますが、お客さまに提出していただいたものをよく見てみるとご主人の要望だけしか書かれていない場合もある。だから「実際のところ、奥さまはどう思っているのか」といった本音に耳を傾けることを大切にしています。その結果、成約率が上がっていたとしたら嬉しいですね。
旅だからこそ知り得た、目地の美しさ
では、本題に入りたいと思います。これまで長きにわたってカジャデザインに力を貸してくださった長沼さん。インドネシア研修の計画段階から「ぜひ来てほしい」という話もあったほどです。実際に声をかけられたときの印象は?
長沼さん
正直なところ、ちょっと大変でした(笑)。別案件の締め切り直前だったので……。
ただ、まぁ1週間まるまる空けても大丈夫なようにスケジューリングはしましたね。カジャデザインの営業事業本部長からも直接「ぜひ」と声をかけてもらっていたので。
インドネシアへ行くにあたり「これだけは学んで帰ろう」みたいなものってありましたか?
長沼さん
やはりカジャデザインの原点ともいえるAMANJIWOとThe Baleの空間は目に焼き付けておこうと思いました。あと現地の街並みや文化ですね。
AMANJIWOやThe Baleのようなリゾート空間も、インドネシアという国のバックグラウンドのうえに成り立っているものなので。歴史や文化がいかに空間にインストールされているのかには興味がありました。
実際に行ってみて、特におもしろかったのは?
長沼さん
AMANJIWOに関してですと、すぐ近くにある世界文化遺産・ボロブドゥール遺跡の石の積み方をベースにして現代建築に落とし込んでいるという点に感動しましたね。
もちろん空間としての心地よさはあるのですが、きちんと土地のバックグラウンドを踏襲している。
長沼さん
細かいところだと、やはり石の使い方ですね。組み積みする石の継ぎ目「目地(めじ)」がとても美しかった。まるで石と石をつないでいるかのような繊細さ。
いろいろリゾート空間は見てきましたが、目地の美しさに関してAMANJIWOはダントツでした。
そもそも、目地のようなマニアックなところは建築雑誌などでもなかなか取り上げられませんからね。実際に現地へ足を運んだからこそインプットできたことだと思います。
まさに「旅の価値」ですね。
長沼さん
旅の価値という話だと、営業や大工といった他の職種の方たちと時間を過ごせたことは大きかったですね。普段は現場で少し話す程度なので。お互いに人となりを知るいい機会になったと思います。
大工の田沢さんとは、街中の建物を見てはお互いに「デザイン的にはこうだよね」「でも大工としては……」みたいなやり取りもできたし、もちろんプライベートな話もしたし……旅を通じて心の距離が縮まったような気がします。
ありがとうございます。では、最後にインドネシア研修の経験が今後の仕事に活きるとしたらどんなことでしょうか?
長沼さん
そうですね……やはり「コンセプトを貫くこと」だと思います。
やはり一流の建築にはコンセプトがある。お客さまの要望と同時に、カジャデザインが大切にしているコンセプトを図面に落としていくような仕事をしていきたいと思います。