2025.10.10 世界を旅する建築会社
世界を旅する建築会社

トルコ・ギリシャの旅 レポート01「 新たな石材を求めて 世界有数の産地トルコへ」

Editor / Writer 植本 絵美

「世界を旅する建築会社」であるカジャデザイン。家づくりで世界中のリゾートを表現するため、海外を旅し、その国の風土や文化、建築、空気感を肌で感じることを大切にしています。年に3回海外研修を行い、最先端のデザインに触れるイタリア・ミラノ、カジャデザインのルーツでもあるインドネシアのほか、これまでスリランカやタイ、インド、モロッコ、アメリカなど世界各国を旅してきました。

今年6月に向かった先はトルコとギリシャ。その様子を3回にわたってレポートします。

トルコへ向かった目的とは?

アジアとヨーロッパにまたがり、東洋と西洋の交差するエキゾチックな国・トルコ。世界遺産に登録されたイスタンブールのアヤソフィアやブルーモスク、カッパドキア、トロイの古代遺跡など名所がたくさんあるだけでなく、エーゲ海と地中海、黒海に面し、温暖な気候のエーゲ海や地中海沿岸部はリゾート地として人気です。

カジャデザイン 海外研修 トルコ ギリシャ
主な訪問先を記したトルコとギリシャの地図
カジャデザイン 海外研修 イスタンブール空港
イスタンブール空港の様子
カジャデザイン 海外研修 トルコ
世界遺産にも登録された歴史的建造物「マヤソフィア大聖堂」

トルコで本格的な夏が始まる6月。イスタンブールに降り立ったのは、カジャデザインの営業・プロデューサーの宇津木剛志、現場監督の高橋龍平、積算購買部の木村慎也の3人。今回トルコを訪れた最大の目的は、新しい石材を探すため。営業・現場・積算のそれぞれの立場から石材を目利きするために3人が選ばれました。

カジャデザイン 海外研修 トルコ ギリシャ
今回の研修に参加した、木村(左)、宇津木(中央)、高橋(右)の3名

カジャデザインと言えば、海外から厳選した天然石。地層のようなマーブル模様と柔らかなクリーム色が人気の「クイン」、力強さを感じさせる溶岩石の「ヒタム」、独特の色むらが魅力の「ヴィエラストーン」など個性豊かな石材をとり入れ、リゾートの空気感を表現してきました。いずれの石も現地に足を運んで厳選したものです。これまではインドネシアの石材が中心でしたが、新たな石材をラインナップするためトルコを訪れました。

カジャデザイン 恵比寿ラウンジ オフィス
世界各国の石材のサンプルを展示している恵比寿の打ち合わせスペース
カジャデザイン 海外研修 石材
トルコの石材サンプル
注文住宅 エタノール暖炉 造作
ヒタムを使用したカジャデザインの建築事例

トルコを選んだ最大の理由

実は、トルコは世界でも有数の石材の産地。街中を見ればわかる通り、建物にたくさんの石材が使われています。トルコ全土に採石場が点在し、種類も豊富です。
今回のお目当てはトラバーチン。トラバーチンと言えばイタリアを思い浮かべますが、イタリア国内では採石量が減っており、歴史的建造物の修復のためにトルコから石を輸入しているというほど、トルコの石は質の高さで有名なのです。

カジャデザイン 海外研修 トルコ
石材がふんだんに使われた建物が立ち並ぶ、トルコの街並み

到着後、イスタンブールからトルコ第4の都市と言われるブルサまで車を走らせ、3人が向かったのはトルコの中でも大規模な石材メーカー。工場ではコンピューター制御によって非常に高い精度で次々に石が加工されていきます。

「さすがトルコ石の国だけあって、世界最先端の設備を導入していてすごかったですね」(木村)

カジャデザイン 積算 仕入れ
旅を振り返り静かに語る積算購買部の木村
カジャデザイン 海外研修 石材工場 トルコ
大型の機材でシステマチックに石材を加工している
巨石を扱う広大な工場の敷地

大理石発祥の島、マルマラ島へ

翌日イスタンブールからフェリーで向かったのは、アジアとヨーロッパに挟まれたマルマラ海に浮かぶマルマラ島。ここは大理石発祥の地と言われ、マルマラがマーブルの語源になっています。ビザンティン帝国やオスマン帝国時代には大理石で大いに栄えたそう。「マルマラホワイト」と呼ばれる白大理石が有名で、トルコ各地の歴史的建造物や遺構に使われています。

カジャデザイン 海外研修 マルマラ島
マルマラ島までは船に乗って移動する
カジャデザイン 海外研修 トルコ マルマラ島
圧巻の景色が広がるマルマラホワイトの採石場
カジャデザイン 海外研修 マルマラ島
目を見張るスケールの大きさ

その翌日に訪れたブルサの街中では、マルマラホワイトを外壁に使った「ウル・ジャーミィ」を発見。この建物は600年前に建てられたもので、マルマラホワイトが長い時間をかけて風化したような風合いとなり、3人はすっかり魅了されてしまったそう。

「カジャデザインは、インドネシアの遺跡や有名なホテルで使われていたり、石が持つストーリーや背景を大切にしてきました。世界遺産にも使われている石が自分の家に使われているなんて、すごく素敵なことだと思うんですよ。ついつい数百年前のモスクの壁に惹かれてしまうのは、カジャデザインの性なのかもしれませんね…」(宇津木)

カジャデザイン プロデューサー 宇津木
カジャデザインで長年プロデューサーとしてリゾート住宅を提案してきた宇津木
カジャデザイン 海外研修 トルコ
オスマン帝国初期の建築様式を用いた「ウル・ジャーミィ」
カジャデザイン トルコ 海外研修
経年変化した石材マルマラホワイトが歴史の深さを物語る

カジャデザイン 海外研修 トルコ

カジャデザインらしい石とは?

ブルサからアフヨンに向かい、石材メーカーの視察。ダイナミックな模様や洗練された美しいマーブル模様など、さまざまな模様や色、特徴の石があり、迷ってしまいそうですが、どのような基準で石を選ぶのでしょうか。

「現場の立場から見ると、まっすぐになっているかなど、精度を見ますね」(高橋)

カジャデザイン 現場監督 高橋
ついつい海外でも建築物の精度を確認してしまう現場監督の高橋

日本向けに石を輸出するには、石材の糸面加工(石の角を糸のように細く面取りする加工)をする必要があります。その加工ができる工場であることが条件の一つですが、さらに3人は何よりも「カジャデザインらしさ」が大切だと言います。

「質感があって、個性豊かなものがカジャデザインらしいと思いますね」(木村)

カジャデザイン 海外研修 報告

2日間かけていくつもの石材メーカーをめぐった3人。数々の石を見るなかで、「これだ!」と3人の意見が一致。果たしてその石とは……。
次回は、この度の最大の目的である「カジャデザインらしい石材」との出会いと買い付けについて深掘りしていきます。

カジャデザイン 海外研修 石材
光を透過する薄くスライスした大理石が特徴のメーカー
カジャデザイン 海外研修 トルコ 石材
出発前に事前に調べた気になる石材工場を複数社視察した

カジャデザイン 海外研修 トルコ ギリシャ