トルコ・ギリシャの旅 レポート02 「ついに出会った、カジャデザインらしい石材とは」
トルコ各地の石材メーカーや採石場を回ったカジャデザインの営業・プロデューサーの宇津木剛志、現場監督の高橋龍平、積算購買部の木村慎也の3人。トルコ5日目に訪れたのは、エーゲ海にも近いデニズリでした。
トラバーチンの街、デニズリ
トルコの西側に位置し、山と湖に囲まれた自然豊かなデニズリ。中心部から20キロほどの場所にある「パムッカレ」は石灰質の真っ白な台地が棚田状に広がり、世界遺産に指定されています。トラバーチンは石灰石の成分が長い年月をかけて堆積し岩石化したもの。デニズリはトラバーチンの有数な産地なのです。



デニズリ近郊には広大なトラバーチンの採石場が広がっています。そこで切り出された原石は工場へと運ばれ、スラブやタイル、モザイクなどに加工されて、世界各国へと輸出されるのです。


石の濡れた状態を確認する
採石場と工場を見て、「ここのトラバーチンがいい!」と3人の意見が一致。トラバーチンの特徴である巣穴(無数に空いている小さな穴)と石全体のどちらの表情もよく、巣穴の空き方も適度でバランスがいい。質の高さは今回の視察で見てきた中で一番でした。
「トラバーチンと一口に言っても、採れる山によってまったく個性が違います。このメーカーのトラバーチンは1枚1枚のクオリティが高く、石の表情は大人しすぎることも派手すぎることもなく、カジャらしい個性も感じられる。見た瞬間にこれだと思いましたね」(木村)


3人が納得した理由は、石の質や表情だけではありません。メーカー側が水で濡らした状態の石も見せてくれたからです。石は濡れる場所に使用することも多く、トラバーチンは水を巣穴があるため吸収性が高い石材。トラバーチンは水を吸って色が濃くなるため、乾燥した状態だけでなく、濡れた状態でも色味を確認する必要があります。
「石は水分が徐々に抜け、3年後ぐらいに完全に抜けて少し白くなる。だから、今の見栄えだけで判断するのではなく、3年後に最も良い状態となるよう、ある程度色がついたものを買っておくんです」(木村)
「今回の旅で、石を水で濡らして見せてくれたのはここだけでしたね。ものによっては、水に濡れるすと汚く見えてしまう石もある。水に濡れた状態を見せてくれたということは、メーカー側の自信の表れだと思います」(高橋)

天然素材ならではの、唯一無二の表情
3人は工場に置かれていた、とあるトラバーチンに一目惚れ。3人が注目したトラバーチンは大きな巣穴が空き、迫力のある表情だったのです。
「こういった規格外のものは、問屋経由では絶対に出会えない。採石場まで足を運んだからこそ出会えたものです。確かに巣穴が大きいので使い方には工夫が必要ですが、唯一無二の力強さがある。使い方次第でかっこいい空間になると思うので、いずれこういったトラバーチンも使えたらいいなと思いましたね」(木村)


採石場まで足を運んだからこその発見
これまでカジャデザインは石材を探すため各地に足を運んできましたが、採石場まで訪れたのは今回が初めて。3人とも多くの発見や気づきを得たと言います。
「今回は採石場も回り、同じ種類の石でも表情や色がこんなにも違うことに驚き、天然素材である石の魅力に改めて気づかされましたね。私たちカジャデザインは世界各国に研修旅行に行き、歴史的な建物に石が使われ、それが重厚感や表情を生んでいること、また完成時が最も美しいのではなく、経年変化で美しさは増していくものだということを学んできました。工業製品で住宅をつくってしまうと同じようなものになってしまう。お客様は高いお金を出して家を建てているのだから、天然石の個性や力強さを活かして一人ひとりにあった唯一無二のもの、長く愛されていく家を提供したていきたい、改めてそう思いました」(宇津木)
「これまでの石の買付けは加工されたものをメーカーから選んでいたので、たとえて言うなら、野菜を八百屋で選ぶようなものでしたが、今回は農園まで足を運んだようなもの。採石場からどのように採掘し、どのように工場で加工しているのか一連のプロセスを見ることができたのが、よかったですね。お客様にも、ストーリーを含めて説明できます」(高橋)

「80点のものでも合格点だと思ってトルコに来ましたが、『これだ!』と思える100点のものに出会えて大収穫でした」(木村)
無事に買付けも終えた3人が向かったのは、トルコ南東部のエーゲ海に面した場所にあるリゾート地ボドルム。次回最終回は、ボドルムとギリシャ、2つのアマンを訪れた様子をレポートします。
