"スリランカ"と"旅する建築会社"との出会い
まるでスリランカの家を日本に移築してきたような家。
世界各国を旅して、スリランカの空気と建築に魅了されたご夫婦の家づくりの冒険が始まりました。
どこまでも情熱を傾け、真っ正面から家づくりに向き合ってきたご主人と、それを信頼し、優しく見守り支える奥様。お互いを「父さん」「母さん」と呼び合う、仲の良いご夫婦にこれまでの家づくりの思い出を振り返っていただきました。
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スリランカに魅了されて…
ー今回の家づくりの大きなテーマが「スリランカ」とのことですが、そもそもスリランカスタイルの家を造ろう!と思ったきかっけを教えてください。
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ご主人:
最大のきっかけはというと、スリランカ在住の娘夫婦の家を訪れた時の経験ですね。
玄関のドアを開けて一歩足を踏み入れた瞬間、「なんだこれは!」と衝撃を受けました。庭と部屋との境界が曖昧で開放的、そして特有のセンスがとても落ち着いて、気に入りました。どこかレトロでシャビーな雰囲気。本当に僕たちの理想の家がそこにあったんですね。
実際に自分たちで採寸をして、日本に帰ってから自分たちの土地の形状に合わせて間取り図まで作成したりしました。
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ーなるほど。そんな経緯があったのですね。実際にこうして、完成した家をご覧になっていかがですか?
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ご主人:
僕たちはそのスリランカで見た家を、そのまま日本に移築してきたような家にしたかったんです。
すでに理想としていた住宅を実際の目で見ていたので自分たちの中でイメージはほぼ固まっていました。ですが、設計をしてくれた八巻さんやプロデューサーの私市さんたちは実際にその家を見たことはない。その状況で、よくここまで忠実に再現ができたな、と本当に驚いています。それにさらに、アレンジを加えて僕たちの想像を超えてくれました。
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奥様:
この家にいるとね、大好きなスリランカのことを思い出して涙が出てくるくらいです。本当に満足度は120%ですね。
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ご主人:
母さんとも話していたのですが、スリランカのスタイルに日本人の繊細さをプラスして建てたから、さらにより良いものになったと思います。
スリランカは熱帯の国で、物理的に庭と室内に仕切りがなくオープンだったりするので、それは開放感があるのは当然なんですが、日本で建てるとなるとそもそも環境が全く違いますからね。
常に気温が30℃以上あるわけではない。日本の気候に応じた気密性や、色々な建築基準、性能基準を満たさなければなりません。それを全て満たした上で、スリランカと同じ空気感を実現できるというのはすごいことだと思います。実際、このデザイン空間でフラット35に適合していますからね。
スリランカを旅したカジャデザインとの出会い
ー「スリランカの家を、日本に移築してきたような…」とおしゃっていましたが、それを一緒に実現できるパートナーとなる住宅会社を選ぶのは大変ではなかったですか?正直、一般的な住宅のデザインスタイルとして、まだそこまでスリランカスタイルが日本で定着しているとは言えないと思うので。例えば、『カリフォルニアスタイル』『ブルックリンスタイル』のように、誰もが同じイメージを持てるわけでは無いのかなと…
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ご主人:
そうなんです。僕たちははじめ、インターネットで『ジェフリー・バワ』『設計』とかで検索をしました。(※ジェフリー・バワ【Geoffrey Bawa】:スリランカを代表する建築家、トロピカル・モダニズムの第一人者としてリゾートホテルのデザインなどを手掛けた)
すると、いくつかの設計事務所が出てきたのですが、見てみるとどれも勉強や趣味で訪れた旅の記録や、ブログなんですよ。「こういう家を建てます」という会社はどこにもありませんでした。
そんな中でカジャデザインのホームページに辿り着きました。
スリランカに研修に行った記事を見て、僕たちはもちろん反応してしまいますよね。
私市さんと八巻さんの対談記事や、神成さんのコンシェルジュ目線での記事なども読ませてもらって、とても興味が湧いたのを覚えています。
その他には、何気なくスタッフ紹介のページを見ていると、あるスタッフ写真のテーブルにジェフリー・バワの写真集が広げられていたり。
「お、これはいろんなところに餌が巻いてあるぞ」と思いましたね(笑)。それらを見て「この会社にはブレが無いな。」「〝あの感じ〟っていうのがすぐに共有できそうだな。」と感じました。
気づくと、横にいた母さんがすでに問い合わせをしているところでした(笑)。
ー〝にわかスリランカファン〟ではないですよ(笑)。では、実際に問い合わせをしてみて、カジャデザインの第一印象はいかがでしたか?
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奥様:
その時の、コンシェルジュ神成さんの対応が本当に素晴らしくて。
初めてお会いした時も、丁寧で迅速で、私たちのスリランカに対する想いの全てをぶつけても、それをちゃんと受け止めてくれました。カジャデザインで家を建てようと思った決め手でしたね。
ただ、「年間で30棟しか建てない」とおっしゃっていたので、それに入れなかったらどうしようと不安な気持ちもありました。でも、その時に思ったのは、待ってでもいいからカジャデザインで家が建てたい、ということでした。
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ーなんと、嬉しいお言葉を…ありがとうございます。
そんな出会いのきっかけにもなった『ジェフリー・バワ』ですが、カジャデザインが『世界を旅する建築会社』としてスリランカに行くことになったきっかけが、リゾート建築の父と称されるジェフリー・バワの建築したホテルを視察する、ということでしたね。
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私市:
そうですね。実は、僕が会社にプレゼンをしてスリランカの研修が決まったんです。リゾート地としては、ハワイやバリのようにメジャーではありませんが、その豊かな自然と建築物という点で以前から注目していた国でした。
建築家であるジェフリー・バワは、今や世界各国のリゾートホテルで取り入れられているインフィニティプールを初めてデザインした人物です。
インフィニティプールとは、海側のプールの縁から水をそのまま流すことで、まるで水平線に建物が溶け込むかのようにするデザインのことです。ジェフリー・バワは自然の中に建築物を溶け込ませることを一つのコンセプトにしていたので、カジャデザインが目指すリゾート住宅を提案するのに、リゾート建築のルーツを体験しないわけにはいかないと思っていました。
そして、僕たちが研修にいった半年後くらいに、Mさまからご相談を頂きました。まさかこんな早いタイミングでスリランカの旅が形になるとは思っていませんでしたね。今回Mさまの家づくりのメンバーとなった、設計の八巻先生やデザイナーの筒井もスリランカの研修に参加していました。逆を言えば、そのスリランカの旅に参加したメンバーを集結させてMさまのプロジェクトが始まった感じですね。
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奥様:
実際にスリランカに行ったことがある人たちでないと、この家はできていなかったと思います。
このキッチンのスリットは、バワのデザインをモチーフしているのですが、この提案を私市さんにされたら断る理由がありませんよね。本当に、こういうちょっとしたアイデアを小出しに、小出しにしてくるんですよね(笑)。まだまだ何か出てくるんじゃないかと、毎回楽しみにしていました。
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筒井:
このスリットは、私たちがスリランカの研修で一番初めに泊まったホテル『ジェットウィング ラグーン』にあったデザインをモチーフにしています。それが私たちとMさまの中では、なんの違和感もなく自然に伝わる、とても嬉しいことですね。
その他にも、タイルの色や目地の色、黒いサッシや階段の手すりのデザインなど、実際にスリランカを訪れていたことで、目指す方向性をMさまとしっかりと共有ができていたんだと思います。
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「一緒に古くなっていく時間はない。」最初から住み慣れた家に。
ーまだ完成して間もないMさまのご新居にお邪魔していますが、ある意味新築とは思えないほど味わい深いお宅ですよね。
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ご主人:
そう、若い人だったら30年とか40年とかかけて、いい感じに家がひなびていく変化を楽しむ事もできると思います。
でも、これからこの家と暮らしていくことを考えた時に、家と一緒に古くなっていく時間が僕にはもう無いな、と思ったんですよね。なので、最初からある程度住み慣れた感じに作ってくださいというリクエストは、打ち合わせ当初から私市さんや八巻さんに話していました。
ー最初から住み慣れた家…確かにすでに長年住まわれているお宅に遊びに来たような感覚になっています。それに中庭を3つ設けるなど、空間の大胆で贅沢な使い方は、とても日本の都市部にある住宅とは思えないです。
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ご主人:
そうだね。僕たち夫婦の現在のライフステージとしては、もうそんなに広いスペースは必要がないんですよね。もっと言えば部屋数だってそんなにいらないし、今後どういう風に発展していくかはそこまで考えなくてもいい。その分、こういった大胆な間取りにできたんだと思います。
この年齢になり、もうしゃかりきに生きなくてもいいんですよ。ゆっくりのんびり今後の人生を過ごしていきたんです。そのために、しゃかりきに家づくりをしていましたけどね(笑)
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奥様:
もう本当に独走状態で、最初は「私ついていけるのかなー」って思ったくらいです(笑)。ただお父さんは本当に楽しんでいるようだったので、いつしか私もそれを応援するようになっていましたね。
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こうして、Mさまの家づくりがスタートしました。
Mさまのスリランカ訪問、旅する建築会社カジャデザインのスリランカ研修、様々なタイミングが織り重なりこのプロジェクトが始動し始めました。これから、工事を管理する現場監督や、たくさんの職人さんが加わり、Mさまだけの特別なリゾート住宅が完成に向かいます。その模様は、次回のブログでお伝えいたしますので、お楽しみに。
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