2022.9.27 「注文住宅」を知る

建ぺい率とは?容積率や最適な土地を見つけるためのポイント

最適な土地を見つけるためには、建ぺい率や容積率について正しく理解しておくことが大切です。

「なんとなく知っているけど、実はよくわからない」という人は意外に多いのではないでしょうか。

敷地面積が100㎡あったとしても、建物が建てられる面積は100㎡とは限りません。建ぺい率・容積率によっては50㎡の家しか建てられない可能性もあるのです。

建ぺい率や容積率を知れば、土地の特徴を最大限いかした建物が建てることができます。

この記事では建ぺい率と容積率について詳しく解説し、土地の見つけ方のポイントについてもご紹介します。ぜひ参考として、土地探しにお役立てください。

建ぺい率とは

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。

簡単にいうと建物を建てる土地に対して、上空から見たときに建物の平面上の面積がどれくらいあるかを示しています。

この建ぺい率が定められているのは、延焼防止のためです。

敷地面積いっぱいに家を建ててしまうと隣家との隙間が少なくなり、火の逃げ道がなくなってしまいます。火災の際に火が燃え移って被害が拡大することを防ぐため、国や自治体は建ぺい率を設定して安全な土地利用を推進しています。

計算式

建ぺい率の求め方は、建築面積÷敷地面積×100の式で算出できます。たとえば100㎡の敷地面積に50㎡の建築面積の建物を建てる場合、建ぺい率は50%です。

また、建築面積は建物の1階だけを指すわけではなく、上から見た面積となります。つまり、1階よりも2階が広い場合は、2階部分が建築面積になります。とくに1階が車庫になっている住宅は、2階部分の建築面積を基準として見られることが多いでしょう。

上乗せ可能なケース

建ぺい率は、都市計画や建築基準法により、具体的な値や規制方法が定められています。

しかし一定の場合に、既定の値から割合を上乗せできる例外的な緩和条件も認められています。たとえば、防火地域の耐火建築物です。防火地域とは、市街地において火災を防ぐためにとくに厳しく建築制限している地域です。

耐火建築物とは鉄筋コンクリート造のマンションのような、柱やはり、床などの構造上重要な部分に燃えにくい素材を使った建物を指します。

防火地域の耐火建築物の場合、延焼防止の必要性が低いと判断されています。そのため、たとえば建ぺい率が80%と指定されている商店街や商業地域(商業施設が密集している場所)では、耐火建築物であれば制限なしとなります。

また、特定行政庁(市町村長や都道府県知事)が指定した角地の場合でも、プラス10%緩和されます。その理由は、角地なら通常の土地よりも空間が広いためです。延焼を防げて、避難経路が確保できます。さらに、防火地域の耐火建築物であり、特定行政庁が指定した角地の2つの条件を満たしている場合には20%が緩和されます。

そのほかにも、公園や広場、道路などの住宅の周りに大きな空間がある場所で、特定行政庁が安全上や防火上などに支障がないと認めて建築審査会(建築基準法の例外的な案件を審査してくれる機関のこと)の同意を得たものは、建ぺい率が100%になります。

このように、建物や土地の条件によって建ぺい率は緩和されます。敷地面積を有効に使うためには、その土地の建ぺい率がどのくらいかの確認を取りましょう。

容積率とは

建ぺい率とは何か、疑問は解消されたでしょうか。
ここからは容積率について解説します。

容積率とは、敷地面積における建物の延べ床面積の割合です。

延べ床面積とは建物の総床面積のことを指します。3階建ての延べ床面積は、1階+2階+3階の合計の床面積になります。

たとえばコップの容器のなかに水が入っていて、その水が容器に対してどれくらい入っているのかを示すのが容積です。これを建物に置き換えてイメージしてみましょう。容積率の場合は、敷地の面積の中にどれくらいの建物の床面積が入れられるかを示しています。

容積率が設定されている理由は、人口密度をコントロールするためです。

たとえば、道路が狭い土地に建物の容量ばかり増えてしまっては、人や車があふれて事故が起こってしまいます。事故を防ぐためにも、容積率で制限をかけているのです。

計算式

容積率は「容積率=延べ床面積÷敷地面積×100」の計算式で算出します。

たとえば、敷地面積100㎡の土地に対して、容積率が200%なら1階100㎡、2階100㎡の土地が建てられる計算になります。容積率は、その土地で何階建ての住宅が建てられるかの指標として使われているのです。

しかし、ここで注意点があります。上記でも説明したとおり、住宅には建ぺい率もあるため、建ぺい率が100%でなければ2階ともに100㎡の住宅は建てられません。

仮に建ぺい率が80%ならば、1階と2階とも80㎡を限度とした住宅しか建てられないのです。

この容積率ですが、都市計画で指定された値と前面道路の幅により上限が決められています。周囲の環境により、容積率の上限が変わるので注意しましょう。

影響されない場所

容積率によって住居の高さが決まりますが、なかには容積率の影響を受けない場所も存在します。容積率の影響を受けない場所には、次のようなものがあります。

吹き抜け

延べ床面積は床があるところを計算に入れています。床がない吹き抜け部分は容積率に入れません。

ベランダ・バルコニー

バルコニーやベランダは、外壁から2m以上出ていなければ床面積に入りません。2mを超えた場合は、超えたところから床面積に含まれます。

また、インナーバルコニーやバルコニーに格子をつけた場合は、床面積に含まれる可能性があるため気をつけましょう。

地下室

地下室を作る場合は、建物全体の3分の1までは容積率に含みません。

たとえば、敷地面積150㎡の家を建てた場合、容積率が50%だと75㎡しか使えませんが、地下であれば37.5㎡の地下室を作り、延べ床面積112.5㎡の家が建てられます。

地上階だけでは部屋が足りない場合に、居住面積を増やす方法として活用できます。

ただし、以下の条件をすべて守る必要があります。

・住居として使われている
・地盤面から地下の天井高まで1m以下の高さ
・地階である

・特定道路
住宅の前面道路(6~12m未満)から出られる道路が、幅員15mで敷地から70m以内の場合なら容積率は緩和されます。

・車庫やガレージ
屋根がついた車庫やガレージも容積率が緩和されます。

住宅の延べ床面積と車庫の床面積を足して、5分の1をかけた数が影響を受けない床面積の上限値です。これを超えた分の床面積が容積率に含まれます。

同じく、自転車置き場や自動二輪車も影響を受けません。

ロフト

ロフトも容積率に含まれません。ただし、天井高1.4m以内、直下の階の床面積2分の1以内までと条件はあります。これ以上のサイズだと、ロフトがワンフロアとみなされるので注意が必要です。

また、マンションの場合だとエレベーターや階段、廊下、エントランスなどの共有部分は床面積に含まれませんので容積率に入りません。

住宅を建てるときは、これらの場所を有効に使うと、たとえ狭小住宅であっても空間を広く見せられます。

最適な土地を見つけるためのポイント

最適な土地を見つけるために気をつけるポイントは、建ぺい率や容積率だけではありません。

以下の要素にも目を向けてみましょう。

用途地域を考慮する

用途地域とは、土地の利用用途を定めている地域のことです。

大きく分けて住居地域と商業地域、工業地域の3つに分類されており、それぞれ利用目的が異なります。

住居地域であれば住環境に重きをおいた区画で、商業地域なら商業施設が中心に配置されます。工業地域なら工場が多く、住宅は少なくなっています。

用途地域の主な特徴は、建ぺい率や容積率が定められていることです。たとえば、住宅は2階までと規制されている第一種低層住居専用地域では、原則建ぺい率50%、容積率100%と定められています。

第一種低層住居専用地域では店舗の規模や用途も厳しく制限され、事業用としての土地活用は難しいといわざるをえません。しかし第一種低層住居専用地域と一口でいっても、特定行政庁が建ててもよいと判断した場合は、その地区の建ぺい率や容積率は変えられるため、地域や場所によっては変わってきます。

基本的には、用途地域で容積率や建ぺい率が決まってきますが、地区ごとに状況が異なるため地区計画についても確認が必要です。

土地の面積を考慮する

土地を探すときは、土地面積についても考えなければなりません。

たとえば、ビルやマンションなどの大きい建物の建築を考えている場合は、当然のことながら広い土地を探す必要があります。

一方、事務所兼自宅にしようと考えている場合は、それほど広くない土地も選択範囲に入ります。

また、狭い土地や密集地ほど、安全上、建ぺい率や容積率が低くなる場合が多いです。広い土地のほうが使用用途は広がります。

その土地にあった建物の選択肢があることを覚えておきましょう。

賃貸需要を考慮する

そのエリアの賃貸需要を確認するのも重要なポイントです。

たとえば、レンタルオフィスを作って貸そうとしても、その土地にレンタルオフィスの需要がなければ意味がありません。反対に、アパートやマンションなどの賃貸需要が高い土地かもしれません。

また、新たに賃貸需要ができそうな土地にも注目してみましょう。

たとえば、再開発予定の土地や大学建設予定のエリア、道路の延伸などが計画されている場所です。これから人口の増加が見込まれるため、こういったエリアにアパートなどを建てられれば高い入居率が期待できます。

まとめ

ここまで建ぺい率や容積率、土地を最大限活用するポイントについて紹介しました。

土地には利用制限があり、それが建ぺい率と容積率です。建ぺい率は土地に対する建物の平面的な広さを、容積率は立体的な広さを定めています。

建ぺい率は緩和できるケースもあり、うまく利用すれば建物を通常よりも大きく建てられます。容積率は地下室や吹き抜けなどを設けると、部屋を増やす、空間を広くとれるといったことが可能です。

その地域の建ぺい率や容積率を把握していると、土地の広さを最大限活かした建物が建てられます。

併せて土地の賃貸需要についても考慮すると、土地活用で失敗する可能性を下げることができます。

「自分で最適な土地を探せない」「賃貸需要がどこにあるのかわからない」という方は、建築家や不動産鑑定士などの土地活用のプロに見てもらう方法がおすすめです。専門的な知識やアイデアで最適な提案が期待できます。

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