不動産登記法は、土地や建物の権利関係を公に示すための登記に関する法律です。新築住宅を建てる際には、この法律に基づいて登記を行う必要があります。
しかし、登記の手続きは複雑であるため、多くの方が戸惑うことでしょう。本記事では、不動産登記法の基本から新築時に必要な手続きまで、わかりやすく解説します。
また、相続や売買、住宅ローンなど、登記が必要となるさまざまな場面で役立つ知識についても提供します。不動産登記法の理解を深め、安心して不動産取引や管理ができるよう、ぜひ最後までお読みください。
不動産登記法とは
不動産登記法は、不動産の権利関係を公示するための登記を定めた法律です。この法律に基づいて行われる不動産登記は、誰がどの不動産に対してどのような権利を持っているかを明確にし、取引の安全を確保する役割を果たしています。
登記事項証明書には、所有者権の情報や土地と家屋の情報、所有権以外の権利などが記載されています。これにより、不動産の権利関係を第三者に対して公に示せ、安全な不動産取引や相続、担保設定などの際に重要な役割を果たします。
不動産登記が必要なタイミング
不動産登記は、さまざまな場面で必要になります。主なタイミングとしては、新築の家を建てた時や建物を取り壊す時、住宅ローンの利用時、住宅ローン返済の完了時、売却時などがあります。ここからは、それぞれの場面について詳しく見ていきましょう。
家を建てたとき
新築住宅を建てた場合、まずは建物を登記する必要があります。これは「建物表題登記」と呼ばれ、建物の所在地や構造、床面積などの物理的な情報を登記簿に記載するものです。
建物表題登記の申請は、建物の完成から1ヶ月以内に行わなければなりません。手続きが遅れてしまうと、10万円以下の過料が科されることがあります。
建物表題登記を行うことで、新築した建物の存在が法的に認められ、所有権の保護や将来の売買、相続などの際に重要な役割を果たします。なお、建物表題登記と同時に「所有権保存登記」も行うのが一般的です。
所有権保存登記とは、所有権の登記のない不動産について、所有者が誰かを示すものです。また、土地や建売住宅を購入した場合は売主から買主に所有権が移るため「所有権移転登記」を行います。
所有権保存登記や所有権移転登記を行わないと、金融機関の住宅ローンを組むのが難しくなる恐れがあります。売買契約がスムーズに進まない可能性があるため、建物表題登記・所有権保存登記・所有権移転登記の手続きは早めに開始しましょう。
不動産を相続したとき
不動産を相続した場合、相続人の名義に登記を変更する必要があります。これは「相続登記」と呼ばれ、被相続人から相続人への所有権の移転を登記簿に反映させるものです。
相続登記の制度は2024年4月から大きく変わり、相続で不動産を取得する場合はもちろん、過去に相続した未登記の不動産についても、3年以内に登記することが法律で義務付けられました。
相続登記を放置すると、将来的に相続人が増えて手続きが複雑化したり、相続人の所在がわからなくなったりするリスクがあるうえ、履行しない場合は10万円以下の過料が課せられます。そのため、相続が発生したら速やかに手続きを開始しましょう。
住所や氏名を変更したとき
2026年4月1日より申請が義務化され、不動産の所有者が住所や氏名を変更した場合、登記簿上の情報も更新する必要があります。
これは「変更登記」と呼ばれ、引っ越しで住所が変わった場合や、結婚などで氏名が変わった時に手続きしなければいけません。この手続きを怠ると、将来的に不動産の売買や相続の際に問題が生じる可能性があります。
変更登記を行うことで、固定資産税の通知など行政からの重要な連絡を確実に受け取れます。そのため、住所や氏名に変更があった場合は、手続きを速やかに進めましょう。
建物を取り壊したとき
建物を取り壊した場合、その事実を登記簿に反映させる必要があります。これは「建物滅失登記」と呼ばれ、建物が物理的に存在しなくなったことを公示するものです。
建物滅失登記は、建物を取り壊してから1ヶ月以内に行わなければなりません。この登記を行わないと、実際には存在しない建物が登記簿上は存続することになり、固定資産税が課税され続けたり、土地を売却する際に問題が生じたりする恐れがあります。
また、取り壊した建物の跡地に新たな建物を建てる場合、建物滅失登記を行わないと新築建物の登記ができません。そのため、建物を取り壊した際には速やかに滅失登記を行うことが重要です。
住宅ローンを借りたとき
住宅ローンを利用して不動産を購入した場合、その不動産に抵当権を設定します。これは「抵当権設定登記」と呼ばれ、借入金の担保として不動産を提供したことが登記簿に記載されます。
抵当権設定登記は、ローンを組んだ金融機関の権利を保護するものです。万が一、返済が滞った場合に、不動産を処分して貸したお金を回収できるようにするために存在します。
抵当権設定登記は、不動産購入時の所有権保存登記や所有権移転登記と同時に申請しなければなりません。
基本的に、金融機関は抵当権設定登記の申請を司法書士に依頼するため、所有権保存登記と所有権移転登記も同じく依頼することになります。その費用は借主が負担するのが一般的です。
住宅ローンを返済したとき
住宅ローンの返済が完了した場合、抵当権を抹消する必要があります。これは「抵当権抹消登記」と呼ばれ、登記簿上の抵当権に関する記載を削除するものです。
ローン返済が完了すると、金融機関から抵当権抹消のための書類が送られてきます。この書類を用いて、法務局で抵当権抹消登記の手続きを行いましょう。
抵当権抹消登記は法律上の義務ではありませんが、放置しておくと第三者からは抵当権がついている状態に見えます。抵当権がついている状態だと、建て替えや売却したい時に問題が発生する恐れがあります。
不動産の価値評価に影響をあたえる可能性があるため、ローン返済完了後は速やかに抵当権抹消登記の手続きを進めましょう。
不動産を売却したとき
不動産を売却した場合、売主から買主に所有権が移るため所有権移転登記を申請します。所有権移転登記は、不動産売買契約の成立後にできるだけ速やかに行うことが望ましいです。
登記の申請は通常、売主と買主が共同で行いますが、実務上は司法書士に依頼することが多いです。なお、登記にかかる費用は、買主が負担するのが一般的です。
新築住宅の登記に関するQ&A
新築住宅の登記は複雑なため、多くの方が疑問や不安を抱えていることでしょう。ここからは、新築住宅の登記についてよくある質問とその回答をまとめました。登記の流れや必要書類を揃える時の参考にしてください。
登記の流れは?
まずは建物表題登記を行い、建物の所在地や構造、床面積といった情報を登記簿に記載します。
次に、その建物の所有者を明確にするために所有権保存登記や所有権移転登記を行い、住宅ローンを利用する場合は、借入金の担保を設定する抵当権設定登記も同時に行います。
この順序を守ることで、スムーズな登記手続きが可能です。登記手続きにかかる期間は、一般的に建物表題登記、所有権保存登記、抵当権設定登記のそれぞれに1〜2週間程度かかるといわれています。
しかし、期間は法務局の混雑状況に大きく左右されるため、申請時に確認しておきましょう。
必要な書類は?
新築住宅の登記手続きでは建物表題登記・所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記のそれぞれに必要な書類があります。
建物表題登記では、施工業者の工事完了引渡証明書や住民票、請負契約書または工事代金領収書などが必要です。
具体的な必要書類は、依頼する土地家屋調査士に確認しましょう。また、所有権保存登記・所有権移転登記と抵当権設定登記は同日に申請するため、必要書類も同時に準備する必要があります。
主に必要な書類は、住民票と印鑑証明書です。さらに、司法書士や金融機関が住宅用家屋証明書や登記原因証明情報、権利証(または登記識別情報)、委任状などを準備して申請を行います。
依頼できる専門家を知らない場合は、住宅を購入した工務店やハウスメーカーが紹介してくれる可能性があります。各書類の準備や提出のタイミングなどもあわせて、相談してみましょう。
まとめ
不動産登記法は、私たちの生活に密接に関わる重要な法律です。新築住宅を建てる際はもちろん、相続や売買、住宅ローンの利用など、さまざまな場面で登記が必要になります。
登記を適切に行うことで自身の権利を守り、安全な不動産取引を行えます。必要な書類や手続きの流れを理解し、適切に対応しましょう。
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