2024.7.18 「注文住宅」を知る

親世帯・子世帯がひとつ屋根の下で生活するのが「二世帯住宅」です。近年、この居住方法を選択する方が増えているのは知っていますか?とくに若い世代は「親に育児を手伝ってもらえる」という理由で選ぶことが多いようです。
しかし、2つの世帯が一緒に生活するのは、決して安心・便利なだけではありません。そこで今回は、二世帯住宅を完全分離する場合の魅力について紹介します。間取りパターンもあわせてチェックしてみてください。

二世帯住宅の完全分離とは?

二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一緒に生活することをいいます。一方で完全分離とは、それぞれに住居があり独立している住まいを意味します。
ようするに完全分離は二世帯住宅の一種のことで、各々のライフスタイルをしっかり確保できるのが特徴です。ほかにも、二世帯住宅には「同居型」「一部共用型」が存在します。

同居型

同居型は、同じスペースを共用する間取りです。一緒にごはんを食べたり、同じ水まわりを使用したり「生活を共にする」というとわかりやすいかもしれません。
共用スペースが多いので敷地が狭くてもゆとりのある家が建てやすく、水道光熱費などランニングコストも抑えられるでしょう。とくに親世帯・子世帯が仲よしの場合、同居型にすることでコミュニケーションもとりやすくなります。

大勢でにぎやかに暮らしたい方やできるだけ建築コストや生活コストを抑えたい方におすすめです。一方で、プライバシーの確保ができないため、自分たちだけの時間がほしい方には不向きです。
またそれぞれのライフスタイルが異なることから、入浴・食事時間・生活音などの調整も必要になるでしょう。途中から同居型を選ぶ場合、慣れるまで苦労しやすくなります。

対策としては、親世帯・子世帯の部屋をきちんと設けることです。一人ひとりに与えてしまうとコストがかかってしまうので、夫婦・子ども部屋・両親(祖父母)にわけるのがベストでしょう。

一部共用型

一部共用型は、その名のとおり生活の一部を共用する間取りのことをいいます。同居型のようにすべてのスペースを共用するわけではないので、ある程度プライバシーは確保できます。とくに「一緒に生活してもよいけれど、各自ゆっくり過ごせる空間が欲しい」という方には最適でしょう。

それ以外の特徴は、同居型とほとんど変わりません。敷地が狭くてもゆとりのある空間を確保できますし、水まわりの設置やランニングコストなどもかかりにくくなります。あくまで「くつろぎスペースを確保できる」のが一部共用型のよいところです。
同居型と同じように、建築コストや生活コストを抑えたい方には最適でしょう。

完全分離型

ほかの間取りとは大幅に異なるのが「完全分離型」です。
このタイプは、二世帯住宅でありながらも玄関から住空間が分離しているため、いわゆる戸建てが2つあるような状態になります。子世帯の近くに住みたいけれど同じ空間で生活するのは避けたい方や、生活スタイルが変わったときでも柔軟に対応できる間取りにしたい方に最適でしょう。

一緒に生活しないためコストはかかりますが、世帯ごとのプライバシーをしっかり確保できるほか、プランの自由度も高いのでストレスが軽減できます。また将来的に片方を賃貸に出すこともできるので、ムダになりません。
ちなみに、完全分離型には2つの住まいが独立しているタイプ以外にも、建物を左右・上下にわける方法もあります。詳細については後述しますが、どのタイプを選ぶかは親世帯・子世帯でじっくり話し合って決めてください。

二世帯住宅を完全分離する魅力は?

完全分離型は、同居型や一部共用型に比べるとコスパがかかります。そのため「憧れるけれど資金を準備するのが大変」と考える方は少なくないでしょう。
しかし、なかには完全分離二世帯住宅で成功している方も存在します。ここでは、住みたくなる魅力について紹介します。

現代の親世代と子世代の価値観を実現できる形式

完全分離型の魅力は、なんといっても親世帯・子世帯の価値観を上手に取り入れられることです。
親世帯の多くは「子どもや孫に会いたいけれど、生活を共にするのは避けたい」と考えがちですが、子世帯は「もしものときは親に助けてもらいたい」と考える方が多く、二世帯住宅に積極的な方が増えています。

完全分離型は一緒に住むわけではないので、お互いにとってストレスになりにくく、適度な距離感でほどよく交流をもつことができます。住まいの問題もしっかり解決できるでしょう。
たとえばAさんファミリーの場合、奥さんの両親と完全分離型にすることで共働きの夫婦でも安心して両親と暮らすことができますし、Bさんファミリーは2世帯をつなぐ「秘密のドア」を1階に設置することでわざわざ玄関を出なくても両家が行き来できるようになります。さらにCさんファミリーは、仏間を真ん中につくりお互いのファミリーが交流できる間取りにしています。

ほかにも、祖父母に子育てをサポートしてもらったり、両親が残した土地に姉妹家族で暮らしたり、ライフスタイルに合わせて住み方を変えられるのも魅力的でしょう。
二世帯住宅と聞くと「一緒に住む」イメージがありますが、完全分離型にすれば各々プライバシーを確保しながら気軽に交流ができるようになります。そのため、同居型・一部共用型ではむずかしかった親世帯・子世帯の価値観も、しっかりあわせられるでしょう。

二世帯住宅を完全分離する際の間取りパターンはどうなる?

一般的に、完全分離型は「縦割り」と「横割り」にわけられます。どちらがよいかは各々のライフスタイルによって変わってきますが、一般的に横割りにするケースが多いといわれています。
それぞれの特徴や注意点は、次のとおりです。

横割り(上下分離)のパターン

横割りパターンとは、いわゆる上下分離型になります。文字どおり上下にわかれているので、1階と2階それぞれに玄関が設けられています。また2階は外階段が設置されるため、将来のことを考えて親世帯は1階にするケースが多いでしょう。
お互いのライフスタイルを大切にしながら生活できるので、ストレスにならず、好きなときにコミュニケーションがとれます。とくに子世帯に小さなお子さんがいる場合、両親や祖父母に育児をサポートしてもらえるので非常に助かります。

一方で、生活音・玄関の間取りや配置に注意する必要があります。たとえば、家族が集まりやすいLDKは1階の寝室を避けた場所につくると音が響きにくくなりますし、浴室の排水音が気になる方も同様です。縦割りで建てる際は、そのへんも考慮しておくと、お互いのストレスも軽減できるでしょう。

玄関は、距離感を考えて配置するとストレスになりにくいといわれています。おすすめは「横並びにしない」「建物に凹凸をつける」ことです。敷地の形状や道路との位置関係によって対応できない場合がありますが、なるべく鉢合わせをしたくない方は2つの方法を取り入れてみてください。

そのほかの対策は、採光・通風をバランスよく設けたり、各世帯に収納を増やしたり、介護・育児のサポートを考えている方は内扉をつくっておくのも効果的です。片方に多く窓を設けていたり、風とおしが悪かったりするとトラブルになりかねないので注意してください。

縦割り(左右分離)パターン

縦割りパターンは、左右が分離した間取りになります。上下分離型とは違い、2つの戸建てがくっついている状態なので、これまでの生活を変える必要がありません。とくに戸建てに慣れている方は、このタイプのほうがストレスになりにくいでしょう。
ただ、玄関が隣り合わせになるため、なるべく鉢合わせを避けたい方には不向きです。また親世帯が高齢になり、2階を利用しなくなることも考えなければいけません。

生活音や玄関の工夫も必要です。横割りパターンに比べると生活音は気になりませんが、玄関・階段・バストイレは離して配置したほうが安心でしょう。各世帯の間に収納スペースをつくると、より生活音が遮断されます。
一方で玄関は、なるべく横並びにならないように配置するか、まったく異なる場所に配置するのもよいでしょう。片方の家に来客が多い場合は、なおさら玄関の位置に注意しなければいけません。

まとめ

二世帯住宅といっても同居型・一部共用型・完全分離型で特徴がまったく異なることがわかりました。なかでも完全分離型は2つの住宅がくっついている状態なため、ほかのパターンに比べるとストレスになりにくいでしょう。
とはいえ、それぞれにメリット・デメリットがあります。「世帯間の仲」も関係してきますから、たとえ建築・生活のコスパが軽減できても、無理に二世帯住宅を選択する必要はありません。しかし選択することで、育児・介護のサポートができたり、両親・祖父母とコミュニケーションがとりやすくなったりなど、よい点がたくさんあります。

KAJA DESIGN(カジャデザイン)では、都会で住みよい暮らしを実現する住宅を提供しています。注文住宅はもちろんのこと、二世帯住宅の相談も承っていますので、興味がある方はぜひ問い合わせてみてください。