Lucaのミラノサローネレポート2023 ~Vol.02 マテリアル
カジャデザインの海外パートナーであるイタリア在住のデザイナーLucaから、ミラノ国際家具見本市「サローネ・デル・モービレ2023」最新レポートVol.02が届きました。カジャデザインのメンバーと共に、世界のトレンドに触れたルカが、デザイナーの目線でレポートしてくれました。
環境を配慮した、多彩なマテリアル
僕が今年のサローネで感じた、もうひとつのキーとなるテーマの「マテリアル」。
技術の躍進と共にますます多様になってきたのは、素材の加工の仕方や使い方や見せ方、そして組み合わせ方。特にその質感を目でも手でも体感出来た時、そして空間を構成するパーツの一部一部に繊細な注意が払われているのを感じ取れた時、「今回はこんな提案してきたのか!」と、深く深く感動してしまいます。
少ない色でもマテリアルの持つ質感や存在感によって十分に圧倒される空間を生み出すことが出来るのは、正に職人の技があるからこそ。イタリアのファニチャーにはこの根本的なDNAがあるからこそ、人々を魅了してやまないのだと、この控えめなトーンの中にある圧倒的な「何か」を体感しながら、改めて職人さんへのリスペクトを抱かずにはいられません。
「マテリアル」と言えば、いかに環境にやさしい素材や作り方をしているかといった、最近良く耳にするSDGsへの取り組みについて。今年のサローネでは色々なメーカーでそのワードを耳にしました。「インダストリアル=大量生産」のイメージですが、イタリアのファニチャーというのは卓越した職人の手作業による技に支えられるスローな部分が多く、元々からSDGsに沿っていたのだと話されていたのが印象的でした。
天然石のもつ重みと深い優しさ、革の持つ滑らかな質感やシボが作り出す陰影、金属の持つ無機質な鈍い輝き、どれも職人の技で完璧に組み合わされそこに存在しています。僕がデザインの仕事が好きなのも、この素材というものをどのようなフォルムで、どんな仕上げで、どんなカラーで・・・と、想像しながら組み合わせていく作業が楽しいからなのかもしれません。
サローネの後半戦はこのファニチャーたちが実際の住空間に置かれ、どのように使われるのか体感するために北イタリアの湖水地方にあるリゾートラグジュアリーホテル巡りに行って来ました。
その様子はVol.03でレポートしますのでお楽しみに。Ciao!