2020.11.12 世界を旅する建築会社
日本

アマンリゾート京都の魅力。洛北鷹峯の歴史と自然、土地の背景がリゾートとなる

企画開発部 植木 宇幸

リゾートの「空気感」はカジャデザインの住宅建築の原点であり、社員全員が共有して持っているキーマインドです。

そのため、カジャデザインでは設立以来、数々の海外を旅し、各国のリゾートを訪問してまいりました。

しかし残念なことに2020年は新型コロナウイルスの影響により海外渡航が制限され、海外リゾートは訪問できなくなりました。

そんな中、私たちは日本国内に目を向けました。
国内のリゾートに旅する事を考え、そして向かったのが京都です。

古都京都、日本3つ目のアマン

古都京都のリゾート。
私たちが目的地にしたのは「アマン京都」です。

アマン京都は2019年11月に開業した日本3つ目のアマンです。構想20年、建築10年という歳月が費やされて完成しました。

設計はアマン東京、アマネム(三重県志摩市)と同様にケリー・ヒルが手掛けました。

京都駅からタクシーで約30分、金閣寺の北側の洛北鷹峯エリアにアマン京都はあります。

洛北鷹峯エリアは江戸初期の書家、陶芸家である本阿弥光悦が芸術村を築いた土地でもあり、木々に囲まれた自然豊かな場所。

近代になり、西陣織の織屋の営んでいた人物が洛北鷹峯の広大な土地を庭として所有し、その後に織物美術館を建てることを計画していました。

アマン京都その跡地に建てられました。

「自然と共存」、前所有者の精神を引き継ぐ

メインエントランスに到着するとそこには静けさと落ち着きが漂い、肩の荷が降りるような安らぎを感じられます。

「アマンリゾートに来た」、まさにそう感じる一瞬です。

中に入っていくとそこは自然が豊かな世界。
私たちが訪れた10月下旬は紅葉が始まりつつあり、緑をベースとした黄色と赤のグラデーションを見ることができました。

前所有者は織物美術館を建てるために、この洛北鷹峯の森を整備していました。
集めた石材で石畳の歩道を作り、パビリオンを建てる基礎として石積みの垣根を築いていました。

それはあくまで自然と共存する方法がとられ、アマン京都が構想された際もその精神は引き継がれました。

前所有者が考えていた空間を美術館ではなく、リゾートホテルとして甦らせる。
大きく手を加えるのではなく、使われなくなっていた森を再生させる。

アマン京都はそのようなコンセプトを持って建築されました。
実際、滞在客が使う石畳の歩道や、客室が建つ場所の石積みの垣根は当時のまま、現在も使われています。

決して変わらないアマンのコンセプト

カジャデザインではこれまで数々のアマンリゾートを訪れてきました。

そのどれもが必ず持っている、「その土地の文化/歴史を踏襲(とうしゅう)する」、「その土地の形状を活かす」といったコンセプト。

アマン京都もそれは決して変わりませんでした。

京都、その中でもかつて芸術村が存在した洛北鷹峯が持つ歴史。その土地を織物美術館として活かそうとしていた前所有者の精神。
それらがリゾートホテルとして生まれ変わる。

海外のリゾートに訪問できない中、久しぶりにリゾートに訪れ、そしてアマンリゾートのコンセプトを肌で感じる事のできた旅でした。

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