2021.12.14 世界を旅する建築会社
世界を旅する建築会社

歴史的な古代住居を上海郊外に移設し生まれたAmanyangyun

代表 大熊 英樹

2018年に上海郊外にオープンしたアマンヤンユン。オープン1年後の2019年に宿泊しました。

ダム建設により消滅してしまう村の建造物と樹木を700kmも離れた江西省から上海へ、15年もの気が遠くなるような歳月をかけて移設した壮大なバックグラウンドから誕生したのが、このアマンヤンユンです。

今回は、その滞在で体験した設計のポイントやその土地ならではホスピタリティについてお話したいと思います。

近代的な建築に、歴史的なインテリアが彩るヴィラ

設計は、アマン京都前回ご紹介したアマノイを担当したケリー・ヒル。
400年以上の歴史を持つ古代住居と現代建築を見事にミックスしてバランスよくデザインされています。

フロント部分は近代的なレジデンスのようなシンプルなデザインです。

アマンらしく美味しいお茶をいただきながらゆったりとした空間でチェックインです。
歴史ある佇まいのヴィラに宿泊したかったのですがフルブッキングでスタンダードヴィラに宿泊しました。涙

広大な敷地はバギーで移動します。
ひと区画の中にいくつかのヴィラが配置されている少し変わったデザインでした。
宿泊した区画はスイートが1ヴィラ・スタンダードが2ヴィラの構成でした。

入り口は1つですが3ヴィラのゲストが同じ敷地内にステイするそんな構成です。

水盤の綺麗なアプローチの奥に宿泊したヴィラの入り口があります。

李朝の建具をアクセントに中庭を眺めながら暮らすそんなイメージのゲストルームでした。

京都の町家をイメージしてデザインされているのではないかと勝手に想像してしまいました。

玄関を入るとリビング~中庭~ベッドルーム~露天風呂~洗面バスルームへと廊下がつなぐそんな構成でした。

リビングルーム
ベッドルーム
露天風呂
洗面
暖炉でゆったり

ここ数年京都に古くなった町家をリノベーションしたミニマムなホテルが次々オープンしていますが、近しい空気感を得ました。ケリー・ヒルらしいデザインラインの綺麗な構成は家にでも居るかのような空間が連続するモダンで寛げるヴィラでした。寒い夜は、暖炉を眺めながらいただくお酒が何よりも格別でした!!!

蘇る伝統建築、再建された極上のスイートルーム

続いて伝統建築を手作業で再建されたスイートルームです。
スタッフさんはアンティークヴィラと呼んでいました・・
残念ながら宿泊できませんでしたが、見学させたいただきました。

歴史を感じさせる石積みの重厚な外観

新設のモダンなプライベートプールと伝統的な石積の古代住宅(ヴィラ)の外観が植栽と水を介すことにより自然豊かな空間にしっとり収まっていました。

ヴィラの入り口を入ると中庭からクローク~ダイニング~リビング~ベッドルーム~バスルームへとつながっています。

(左)中庭 (右)クローク

クロークとはいえ贅沢なスペースが確保されています。自分の良く言う「余白」が創り出すラグジュアリーが心の真ん中にスッと落ちてきました。

(左)ダイニングルーム (右)リビングルーム

リビング・ダイニング共に外の景色を取り込んでいてとても気持ちの良い自然を感じられる贅沢な空間でした。

ベッドルーム
バスルーム

古代住宅に「快適さ」が加わったアンティークヴィラへはコロナが終息したらスタッフたちと宿泊しに行こうと思います。価値ある空気感です!!!

京都の建築様式と中国の古代建築様式がミックスされたかのような空間は
流石「AMAN」です。流石「ケリー・ヒル」です。

広大な敷地の中に、様々なアプローチと癒やしを与える空間。

様々なアプローチです。
広い敷地内は、バンブーや円形の抜け、オリジナルの石積みそして、移築してきた400年前の石積みと様々なデザインでセパレートされていますが、どのシーンも計算しつくした美術館のような完璧な空間が連続していました。

カジャデザインも石材を巧みに使い空間構成しています。
石材の種類こそ違いますがデザイン性や質感はとても良い学びになりました。

プールやサウナ・ジャグジーも備えたアマンリゾートの中でも一番の広大な面積を誇るハイグレードなSPA。スタッフさんの受け売りですが・・・笑

レストランも5つありチャイニーズスタイルからイタリアンまで様々。
ライティングも柔らかな陰影を丁寧につくり出していました。

敷地内の農園では有機野菜やハーブを多種栽培されています。
野菜の旬の素材や香りをダイレクトに感じられる味わいあるメニューが多くありました。

アマンヤンユンいかがでしたか?
オープンして間もないということもあり、あまり期待もせず訪れたのですがスタッフさんの自然な振る舞いや気遣い、きめ細かなサービスはとても心地よくゆっくりと心を休める時間を過ごすことができました。

建築的にも自然豊かで竹・木・石そして、水辺も多くありアマンリゾートらしい「何もしない幸せ」を心の底から感じられる空間が連続しています。

デザイン的に興味のあった歴史的な古代住居とアマンヤンユンのためにデザインされた石壁はどちらも想像していた以上のクオリティーでした。

特に、古代住居は400年という歴史を経て「手作業」で解体し700kmの旅を経て、現代の「暮らしやすさ」を加えヴィラとして再現されていた様は見事でした。

その中でも外の緑を取り込むように微妙に低めの開口部が設けられていて、ソファやバスタブに腰を下ろすとちょうど外の景色を望むようにデザインされた微妙な高さに設えた窓!!!良かったです。

一日の暮らしの中で一番ゆったりとするだろう場所で「最高の景色を取り込む」!!!
時間を大切な価値として時を重ねていくうえでとても有難いことです。

当社は、新築住宅以外にも「リノベーション」も行っています。
丁寧な「手作業」から生まれる空間の優しさをカジャデザインのリノベーション空間に取り入れていきたい、見習うべき、強く思いました。

長くなってしましましたが、上海からのアクセスも良く中国の歴史に加え自然も感じられるアマンヤンユン訪れてみてください。その当時支配人がまだまだ敷地も拡大し水辺やゴルフ場・レジデンスを建設する計画もあると言っていました。

ゲストにアマンリゾートの価値を感じていただくための努力を手を休めることなく継続していくとも言っていました。

次の上海ステイが楽しみでなりません・・・