2023.2.15 「注文住宅」を知る

集成材とは?種類と使用用途・無垢材との違い

住まいづくりやリノベーションをするなかで、木材を取り入れることも多いでしょう。住宅に使われる木材のひとつに、集成材があります。

集成材とはどんな木材であり、どのようにつくられるのでしょうか。今回は集成材について、その種類や使用用途などを詳しく解説します。

また無垢材は、集成材とよく比べられる木材です。集成材と無垢材の特徴の違いを比較し、それぞれのメリットやデメリットも見ていきましょう。

集成材とは

複数の木材を集めて、接着してつくられる木質材料です。住宅の柱や梁といった骨組みや、床や壁などの内装、家具など、幅広い場所に使用されています。

集成材の一般的な製造工程では、丸太をカットしてできたひき板や小角材をよく乾燥させて、寸法を整えます。カットしてから乾燥させるのは、なるべく短期間で無理なく乾燥させるためです。

次に、割れや節、腐った部分などの集成材に適さない部分を取り除き、貼り合わせます。貼り合わせることで厚みを出したり、幅を大きくしたりすることが可能です。

貼り合わせる際は、木目方向を平行にそろえます。縦方向の接着の際は「フィンガージョイント加工」と呼ばれる、接着強度が増す加工方法が施されます。

以上のような工程を経て、強度と品質の安定した集成材がつくられます。

集成材の種類と使用用途

集成材は大きく2種類に分けられます。それぞれの特徴や使用用途を見ていきましょう。

構造用集成材

住宅や建物の柱や梁、土台などの構造や骨組みに使われる集成材です。建物の耐力部材として使われるため、強度や耐水性について厳格な規格や検査をすることで、品質を管理しています。

構造用集成材は強度が明示されており、湿度などで寸法や品質に影響が出にくく、安定した品質の木材といえるでしょう。

日本農林規格(JAS)では、寸法や断面積によって大断面、中断面、小断面に分けられています。

大断面集成材は強度や耐久性に優れており、体育館や学校、寺院、集会施設などの大型木造施設に使われる材料です。中断面または小断面の集成材は、木造住宅の柱や梁などの構造材に使用されています。

さらにJASでは、ひき板の構成による区分も行っています。品質が同等のひき板を集めて接着したものは「同一等級構成集成材」に、外層ほど強度の高いひき板を配置して貼り合わせたものは「異等級構成集成材」に区分されます。

造作用集成材

ホームセンターなどでよく見かけるのは、造作用集成材です。ひき板を素地のまま貼り合わせてつくられます。造作用集成材は非耐力部材に使われるため、強度に関する規格は設けられていません。

造作用集成材は木本来の美しさを活かしつつ、さまざまな形状に対応できるのが特徴です。住宅の床や天井、壁、階段材などの室内装飾、テーブルや収納などの家具にも使われます。

木材の反りや割れも少ないうえ、さまざまなサイズがあって好みのサイズにカットすることも可能なため、DIYにも使いやすい材料です。

ひき板を貼り合わせたものを芯材として、表面に化粧薄板を重ねた「化粧ばり造作用集成材」もあります。こちらは和室の敷居や鴨居、洋室の内装材などとして使われます。

集成材と無垢材の違い

集成材がいくつかの木材を接着・加工してつくられているのに対し、無垢材は天然木を切り出して、形状を整えてつくられます。つまり、製造工程や材料に違いがあるのです。

加工された集成材と自然なままの無垢材は、つくり方が違うがゆえにさまざまな点で違いが見られます。まず風合いや模様です。無垢材は木本来の色合いや模様を楽しめるいっぽうで、集成材は均一化されています。

また、必要なコストも異なります。樹種にもよりますが、自然なままの無垢材は比較的価格が高く、集成材は安い傾向にあります。

そのほかにも、集成材や無垢材が持つ機能性や、耐用年数なども異なるため、使い方や希望に合わせて使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

集成材のメリット・デメリット

住宅に集成材を取り入れることで得られるメリットや、知っておきたいデメリットを解説します。

メリット

集成材は品質にバラつきがないように加工されていることから、質が安定しています。色合いや模様が均一化されており、内装に統一感を持たせたい場合にも使いやすい木材です。

カットしてよく乾燥させているため、湿度の影響による割れや反りも出にくいでしょう。JAS認定の構造用集成材は、強度や耐水性に関する厳格な規格や検査によって品質管理されているのも魅力です。

さらに集成材は人工的につくられる木材のため、厚みや長さ、幅を調節しやすいのもメリットです。比較的自由に希望の形状の木材をつくれるため、使い勝手がよく、扱いやすいという特徴があります。

また、地震の多い日本の住宅では、耐震性能が高く丈夫な建材であることが集成材は、さまざまな強度の木材を組み合わせてつくる性質上、一定の頑丈さが保たれているのも大きなポイントです。

デメリット

無垢材が唯一無二の木目や表情を楽しめるいっぽうで、集成材はデザイン性の観点から、もの足りないと感じることもあるでしょう。

オリジナリティを求める場合や、高級感のある空間、ナチュラルな雰囲気を好むのであれば、無垢材のほうが魅力的に感じるかもしれません。

集成材に用いられる接着剤には、健康面にリスクのあるホルムアルデヒドなど、揮発性のある有害化学物質が含まれているケースもあります。しかし近年では、建築基準法の改正によってホルムアルデヒドの使用が制限されており、以前に比べて被害は少なくなっています。

また、目立つような傷をつけてしまったときに、無垢材であれば削るなどのメンテナンスを行えますが、集成材ではそういった修繕はできません。

無垢材のメリット・デメリット

自然なままの無垢材を住宅に取り入れたい、と考えたことはないでしょうか。無垢材ならではのメリットやデメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット

無垢材は天然木をそのまま使用しているため、集成材に比べて木本来の持つ空気を多く含んでいます。内部に含まれたこまかな空気が断熱材のような役割を果たすため、冬の寒い時期に裸足で歩いてもひんやりしにくく、やさしい感触があたたかみを感じさせてくれます。

樹種によって色合いや木目の濃さなどの特徴が異なり、好みに合わせて選べるのも魅力です。自然がつくりだした唯一無二のデザインは、特別な高級感がありながらも落ち着ける空間づくりに役立つでしょう。

年月の経過によって深みのある色になったり、赤みが増したりとゆるやかに変化していく様子も楽しめるのも、無垢材ならではの特徴です。まるでともに成長していく家族のように、長く愛着を持って過ごせる家を持ちたいとお考えならおすすめです。

また、無垢材を部屋の内装に使用することで、家の中にいながらもやわらかい木の香りに包まれた、くつろぎの時間を過ごせるでしょう。天然木の香りによるリラックス効果も期待できます。

無垢材には、自然に近い素材ならではの調湿性もあります。湿気が多いと水分を吸収し、乾燥すると水分を放出する作用のおかげで、室内の湿度を快適に保ってくれる効果を望めます。

デメリット

木材の加工や施工には技術が必要であり、手間がかかります。選ぶ樹種や無垢材を使用する広さなどによっても異なりますが、集成材と比較すると専門的な知識を必要とします。そのため、無垢材の取り扱いに長けた住宅業者を選定することが大事です。

無垢材がもつ調湿性はメリットである反面、膨張や収縮を繰り返すことにより変形や反りが起こることがあります。樹種によってはやわらかいため、キズやへこみが気になることもあります。ただし、長年愛着をもって使い続けた味ととらえることもできます。

水に弱い樹種の場合、水に濡れた部分がシミになることもあるため、早めに拭き取るなどの対処が必要です。あまりにも気になる傷やシミは、専門業者によるメンテナンスもできます。

樹種によって硬さや耐久性、耐水性などは異なるので、施工場所や使用目的に合わせて木材を選ぶとよいでしょう。とくに広葉樹から切り出されたものは、堅く傷つきにくい特性を持っているため、無垢材のなかでも比較的お手入れしやすいといえます。

無垢材の内装はこまめなお手入れが必要ですが、手をかければそれだけ、より美しく風合いのある家へと育てられるでしょう。

まとめ

集成材は複数の木材を集めてつくられる木材です。強度や品質が安定しており、さまざまな用途で使われています。集成材は住宅の骨組みなどに使われる構造用集成材と、家具や内装に使われる造作用集成材の2種類に大きく分けられます。

住宅に使われる木材には無垢材もあります。集成材がいくつかの木材を貼り合わせているのに対し、無垢材は自然なままの木材であり、木本来の質感や香りを楽しめるのが特徴です。

集成材と無垢材にはそれぞれ異なる特徴があり、得られるメリットやデメリットに違いがあります。どちらのほうが優れているというわけではなく、どちらにも魅力があるため、使用目的や使用場所に合わせて、予算とのバランスも考えながら使用する木材を選ぶとよいでしょう。

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