2023.12.15 「注文住宅」を知る

セットバックとは?土地を購入する際の注意点をわかりやすく解説

土地の購入を検討している方は、セットバックについてご存じでしょうか。もし知らない場合はセットバックの知識を深めてから土地探しをすることをおすすめします。

そこで本記事では、セットバックが必要な理由や工事費用などを解説します。そのほか、セットバック用の土地を購入する際の注意点や、購入後にすべきこともお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

セットバックとは

セットバックとは、建物や構造物が土地の境界から、どれだけ離れて配置されるべきかを定める制度です。この制度は、都市計画や建築基準などの法律や規則によって定められています。

建築するための土地を探す際には、地方の建築基準や都市計画法を確認して、セットバックすべきか調べることが重要です。法令順守が必要となるため、そのような土地を検討されている場合は、早めに建築会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

またセットバックする幅は、すでにある道路の幅や向かい側の状況などによって異なります。

購入後に手続きなどで追われてしまうのを回避するために、土地を購入する前にセットバックに関する項目を確認しておきましょう。

そこで本記事では、土地を購入する前に確認すべきことを紹介するので、建築を目的に土地の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

セットバックが必要な理由

セットバックを設けることで、建物や構造物が隣接する土地や道路から適切な距離を確保でき、災害や事故による被害を最小限に抑えられます。

地震や洪水などの自然災害に対して建物を安定させたり、道路を通行する車両に対して適切な安全空間を作ったりすることが可能です。

建物同士の距離を確保すると、火災の拡大を防ぐ効果も期待できます。緊急車両が到着するまでに時間がかかる場合でも、被害を最小限に抑えられるでしょう。

また、セットバックを設けて隣地や近隣住宅との距離を確保すると、住居内部のプライバシーを保護できるでしょう。住民間とのトラブル回避にもつながり、双方のメリットにもなります。

セットバックする幅の基準

セットバックの必要性を理解したところで、セットバックの内容について理解を深めていきましょう。

セットバックにより、私的利用できなくなる土地が増えるおそれがあるため、セットバックすべき幅を事前に確認することが重要です。

ここでは、セットバックする幅の基準について、道路の向かい側に建物がある場合と、崖や川などがある場合の2つに分けて解説します。道路の向かい側の状況によって、セットバックすべき幅の基準が異なります。

道路の向かい側が建物の場合

道路の向かい側に建物があるとき、道路の中央線から両方の建物に向かって2mのセットバックが必要です。道路の幅が2mある場合は、両方の建物から1mずつセットバックしなくてはいけません。

土地を選ぶ際には、道路の向こう側に建物があるか、前面道路の幅がどれくらいあるかなどのポイントを確認してください。セットバックが必要ではないケースも多々あるため、確認は必須です。

道路の向かい側が崖や川などの場合

道路の向かい側に崖や川などがあるとき、崖や川などの境界線から建築する土地に向かって4mセットバックしなくてはいけません。道路の幅がすでに2mある場合は、建築する土地に向かって2mセットバックしなくてはいけません。

崖や川などは、建物がある土地のように境界線の変更が不可能です。

そのため、道路の向かい側に建物がある場合と比較すると、土地の面積が狭くなってしまうデメリットがあります。土地探しの際には、道路の幅だけではなく、向かい側に岸や川などがあるのか確認しましょう。

セットバックにかかる費用

セットバックにかかる費用は、30万円〜80万円ほどが相場です。境界確定測量や現況測量の土地測量費、宅地と道路用地の分筆登記費用、道路用地部分の仮整備費用などが必要です。

隣地との境界が確定していると、現況測量だけで済むため、20万~30万円ほどで抑えられます。道路用に使用するための工事が必要な場合は、さらに費用がかさむと把握しておきましょう。

また、道路用に使用するための工事費用や舗装費用は、セットバックした土地面積によって異なります。1平方メートルにつき、5,000円ほどが目安です。工事に携わる人数、使用する重機の種類や台数によって費用が異なるので、しっかり見積もりすることがおすすめです。

土地を所有している方が費用を支払うケースが多いため、土地を購入する際には、土地の購入費用とセットバックに必要な費用を合算したうえで購入を検討しましょう。

セットバック用の土地を購入する際の注意点

セットバック用の土地を購入する際には、注意点を理解しておく必要があります。ただセットバックするだけでは、トラブルにつながったり、損をしてしまったりするおそれがあるでしょう。

ここでは、土地を購入する際の注意点を2つ紹介します。土地を購入する前に、どのような注意点があるのかを確認しておきましょう。

セットバックした土地は敷地面積から除外される

セットバックした場合、道路となる部分を土地から除外しなくてはいけません。思ったよりも土地が狭いと後悔しないために、セットバック後の土地面積に着目しながら土地探しを行いましょう。

また、建築目的で土地を購入する際には、どれくらいの大きさの家が建てられるか、建ぺい率や容積率の指標も確認してください。セットバック後の土地に、自分が希望する間取りや坪数の家を建てられるか確認することが大切です。

家の大きさだけではなく、自分が所有している車のサイズや庭の用途などを明確にしておきましょう。セットバック後でも、余った土地の中に十分な駐車スペースがあるか、希望の使い方ができるかなどを確認することが重要です。

セットバックした土地は私的利用できなくなる

セットバックして道路となった部分の土地は、建物を建てたり塀や門を設置したり、私的利用できなくなります。そのほか、駐車スペースとして車や自転車を停めることも禁止されてしまうので注意しましょう。

また、購入する前に道路となる部分がどれくらいなのか確認し、私的利用できる範囲を理解することが重要です。私的利用できない場所が増えると、希望する間取りや坪数の建物を建てられなくなるおそれがあります。

セットバック用の土地を購入した後にすべきこと

セットバック用の土地を購入したあとは、損をしないためにもすべきことを確認しておきましょう。セットバックしたまま土地を放っておくと、損するおそれがあります。

ここでは、セットバック用の土地を購入後にすべきことを2つ紹介します。少しでもセットバックにかかる費用を抑えるためにも、ぜひ参考にしてください。

固定資産税の非課税申請

セットバックした土地は、道路として公的利用されるため、私的利用できなくなります。購入時は所有権を持っているため、セットバックしたままだと、無駄な固定資産税を支払ってしまうおそれがあるでしょう。

固定資産税の非課税申請を行うことで、セットバック後の金額を見直し、減額・免除が可能です。固定資産税の非課税申請は、各自治体の役所で手続きを行う必要があります。

また、非課税申請を早めに適用してもらいたい場合は、1月末までに書類の提出を済ませておきましょう。1月末を期日にしている自治体が多く、事前に必要な書類を聞いておくことがおすすめです。

補助金・助成金の有無

セットバックをする際、そのときにかかる工事費などを補助金・助成金でカバーできる可能性があります。セットバックした土地は私的利用できなくなるため、自分ですべての費用を支払うことに納得できない方もいるでしょう。そのような方は、補助金・助成金の有無を確認してください。

補助金や助成金の種類は、各自治体によって内容や金額が異なります。セットバックの工事を行う前に、書類の用意や手続きを行わなくてはいけない場合があるため、事前に必要な書類や期限などを確認しておきましょう。

ただし、補助金や助成金を利用しても、全額免除ではなく一部免除となるケースがあります。

全額を負担してもらえなくても、少しでも費用を抑えたい方は、ぜひ補助金・助成金を活用してください。

まとめ

土地を購入する際、セットバックが必要であるか確認することが重要です。セットバックは緊急車両が通れる道幅の確保や、火災の拡大の防止などのさまざまな目的があり、法的にも行わなくてはいけない決まりになっています。

セットバックにより、建物を建てたり、車をとめたりできる土地の面積が狭くなってしまいます。私的利用ができなくなることで、希望の間取りや坪数の建物を建てられなくなるおそれもあるでしょう。

またセットバックするには、工事費用などがかかります。少しでも費用を抑えたい場合には、補助金や助成金の有無を確認し活用してください。

カジャデザインでは、土地探しをはじめ、家づくりのトータルサポートを行っています。

セットバックなどの知識も豊富であるため、ご相談したいことがあればぜひお問い合わせください。