2023.8.3 「注文住宅」を知る

トップライトとは? 取り付けるなら知っておきたい5つの効果

住宅に窓を設置する際、壁だけでなく屋根に設置する方法もあります。屋根に取り付ける窓をトップライトといいますが、壁に設置する窓と比べてどのような特徴があるのでしょうか。

今回は、トップライトの特徴や種類、取り付けることで得られる効果をご紹介します。取り付ける際は、よい面だけでなく懸念される面も知っておくと安心なため、トップライトの問題点と対策方法もあわせて見ていきましょう。

トップライトとは

屋根に設置する窓のことで、天窓やルーフ窓と呼ばれることもあります。高い位置にある窓から室内に光を届け、エレガントな雰囲気をかもし出します。

隣家が近いなどの理由で壁に窓を設置しにくい場合も、屋根なら設置できるケースもあり、部屋の雰囲気や明るさを変えられるのが特徴です。天井から差し込む光がスポットライトのように見えたり、光の模様を写し出したりと、幻想的でおしゃれな空間を演出できます。

新築のときだけでなく、中古住宅をリノベーションするときにも取り入れることが可能です。

トップライトの種類

  • 固定式(フィックスタイプ)
  • 手動式
  • 電動式

固定式の場合は開閉操作ができず、可動式の窓のように風を取り込めないため、あくまでも採光を目的とする場合に利用されます。

手動もしくは電動で開閉できる種類なら、採光だけでなく換気や通風も可能です。手動式は手元で開閉するタイプや、高いところでも操作しやすいように棒を使用して開閉するタイプがあります。

電動式はスイッチやリモコンで操作できるため、手の届かない位置にある場合も便利に使えるでしょう。雨を感知して自動で閉まるタイプや、タイマー設定できるもの、スマートフォンによる遠隔操作ができるタイプなどもあります。

トップライトの5つの効果

屋根に窓を設置することで得られる効果を5つご紹介します。

採光性

壁にある窓よりも高い位置にあることから、効率的に光を取り込めるため、採光性に優れているのが特徴です。自然光で部屋を明るくできるので、照明器具の使用量を抑える効果も期待できます。

効率的に光を取り込めるとは、壁に設置する窓と比べて面積が小さくても、同じ量の光を得られるということです。

北側に位置することが多いバスルームや洗面、キッチンなどは部屋が暗くなりがちで、なおかつ小さい窓しか設置できないケースもあります。そのような場合も、トップライトを設置することで採光ができて、空間を明るくできるでしょう。

通風性

温かい空気は上に、冷たい空気は下に流れる性質があります。室内の高い位置と低い位置にある空気の温度差によって上昇気流が生じますが、屋根の窓を開けておくことで温かい空気が窓から抜けていき、室内の風通しがよくなる効果が期待できます。

高低差のある窓を開けておくことで風の通り道ができて、効率的に通風できるため、暑い時期はエアコンの使用量を減らせて省エネにつながる可能性もあります。ただし固定式は開閉できないため、通風性は期待できない点に注意しましょう。

プライバシー性

隣家が近い、目の前の道路の人通りが多いなどの理由から、壁に大きな窓を設置しにくいケースもあります。また、十分な採光を得るためにカーテンを全開にしたくても、外からの視線が気になってできない場合もあるでしょう。

壁に設置する窓は外からの視線が気になりやすい一方で、トップライトは高い位置にあるため外から室内が見えにくく、プライバシーを確保できるのが魅力です。採光性や通風性を確保しつつ、プライバシーも守れます。

防水性

屋根からの雨漏りが心配に感じることもあるかもしれませんが、トップライトは雨風にさらされても大丈夫なようにつくられています。各建材メーカーからは、防水性の高い製品が開発されており、正しく施工することで防水性が確保されます。

トップライトの問題点と対策法

さまざまな効果を得られるトップライトですが、取り入れる際には問題点や懸念点も知っておく必要があります。問題点とそれぞれの対策方法を見ていきましょう。

設置場所に関して

トップライトは効率的に採光できるのが魅力ですが、設置場所には注意が必要です。たとえば日差しが入りやすい南側の屋根に窓を設置すると、冬の寒い時期は部屋を暖かくしてくれますが、夏は直射日光で室内が暑くなることが懸念されます。

また、西側に設置すると、強い直射日光である西日が直接室内に入り込むため、目が疲れやすくなるでしょう。

直射日光が当たりにくく、太陽光が一定になりやすい北側に設置するなど、設置場所をよく検討しましょう。南側などに設置する場合は、状況に応じて室内に入り込む光を調整できるように、ブラインドやロールスクリーンを取り付けておくのもひとつの方法です。

結露に関して

結露は空気の温度差が生じる場所にできやすく、窓やサッシは家の中で結露が発生しやすい場所のひとつです。結露を放置すると、カビの発生や家の腐食につながりかねません。

屋根は外気の影響を受けやすく、温度変化が大きくなります。室内側では、キッチンやバスルーム、洗面などからの水気によって湿度が高くなりやすく、湿気は温かい空気によって上の方に流れていきます。

トップライトは結露が発生しやすいため、定期的に換気して室内の湿気を逃がし、結露受けを設置するなどして対策をしましょう。また、断熱性能の高いガラスを採用することで、結露の防止が期待できます。

使用方法に関して

使用方法によっては、トップライト周辺の劣化を早める可能性もあります。開閉するタイプの場合、開けている状態のときに気付かないうちに雨が降り出して、室内やトップライトの周辺に雨水が入り込んでしまうこともあります。

閉め忘れがないように注意したり、雨を感知して自動で閉まるタイプを取り入れたりと、対策をしましょう。結露を放置すると腐食の原因にもなるため、定期的な換気や、ガラスやサッシの結露を拭き取るなどのお手入れも必要です。

経年劣化に関して

正しく施工したとしても、年月の経過によって徐々に劣化していきます。開閉部分の不具合やひび割れなどの劣化を放置すると、雨漏りや腐食の原因にもなります。

室内側にシミや変色などが生じていないか定期的にチェックするとともに、トップライト自体の耐用年数を考慮して、交換やリフォームをするなどの対策をしましょう。

まとめ

トップライトとは、屋根に設置する窓のことです。天井から差し込む光が幻想的で、おしゃれな雰囲気を演出してくれます。

固定式や、手動や電動で開閉できるタイプがあり、目的に合わせて選べます。効率的に採光できるのが魅力で、光が入りにくい部屋や大きな窓を壁につくれない部屋などにも取り入れやすいでしょう。

開閉できるタイプであれば、通風性も確保できます。高い位置にあるため室内が見えにくく、隣家との距離が近い場合もプライバシーを確保しながら窓を設置できるのが特徴です。