2022.7.15 「注文住宅」を知る

ZEHとは?メリットとデメリット・補助金制度について解説

近年エネルギー意識の高まりにともない、注目を集めているのが、ZEH(ゼッチ)です。

ZEHは省エネルギー化を実現した次世代の住宅として、政府によって導入が推進されており、補助金施策などの設置も進んでいます。

とくに最近では、エネルギー価格の高騰が家計を圧迫しています。

これから住宅を建てるにあたり、太陽光発電などの設置を考えている人は、ぜひZEHについて理解を深めておくべきでしょう。

本記事では、ZEHのメリットやデメリット、また各関係省庁によって設けられている補助金制度について、詳しく解説します。

ZEHとは

ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、1年間に使用するエネルギーの収支を、おおむねゼロ以下に抑えた家のことです。

断熱性能の向上と省エネ機器の導入、また太陽光発電などによるエネルギーの生産によって、エネルギー収支の効率化を実現します。

ZEHが推進されている経緯としては、国内のエネルギー自給率の低さや災害時への対応が挙げられます。とくに日本はエネルギーを生み出すための原材料ともいえる一次エネルギーの大部分を、他国からの輸入に頼っています。ZEHは自国内のエネルギー供給の強化のために、政府によって政策として推進されているものです。

ZEHで用いられる「ZEH基準」は、2025年に全建築物に対して義務化が求められている省エネ基準よりもさらにグレードが高いものとして定められています。また現在定められている省エネ基準は、2030年にはZEH基準並みに引き上げる方針が発表されています。ZEHは省エネルギー化の将来的な目標や指標として用いられており、これから住宅を建築するにあたってぜひ意識しておきたい考え方といえるでしょう。

ZEH住宅の特徴

ここではZEH住宅の特徴について解説します。

断熱・省エネ・創エネの要素で成り立っている

ZEHは「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの要素から成り立っています。
ZEHでは断熱性の高い窓やサッシを導入し、家自体の構造に高断熱材を用いることで、外気温の影響を和らげます。

熱が奪われにくいため冷暖房に使用していたエネルギーを削減できるなど、エネルギー効率が向上します。

また同時に 住宅にかかるエネルギーを管理するためのシステム「HEMS(ヘムス)」やLED照明、効率性の高い給湯システムの設置などにより、省エネを実現します。

あわせて、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを設置します。これにより、生活のなかで消費するエネルギー分を上回るエネルギーの生産を行い、エネルギーの収支がゼロ以下になることを目指します。

いくつかの種類がある

ZEHには種類があり、一戸建てか集合住宅か、またエネルギー消費量の削減割合などによって異なります。

一戸建ての場合の「ZEH」に対して、集合住宅では「ZEH-M」が設けられています。

また一戸建ての場合を対象に見た場合「ZEH」のほかに「ZEH Oriented 」「Nearly ZEH」「ZEH+」「Nearly ZEH+」があり、それぞれ住宅に求める基準が異なっています。

たとえばZEHとNearly ZEH(ニアリーゼッチ)は、断熱と省エネによる省エネ率はともに20%以上と定められていますが、創エネを含んだ省エネ率では、ZEHの100%に対して、Nearly ZEHは75%以上とやや低くなっています。

またZEH Orientedは再生可能エネルギーによる発電設備の導入が必須ではなく、創エネを含んだ省エネ率が要件に含まれていません。

これはZEH Orientedが、太陽光が十分に確保できない住宅地を対象としていることが理由です。
またZEHの最高グレードであるZEH+、またその要件を緩和したNearly ZEH+では、さらに求められる水準が高まります。

断熱と省エネによる省エネ率はともに25%以上、創エネを含んだ省エネ率では、ZEH+が100%、Nearly ZEH+は75%以上と定められています。

さらにそれぞれより高い断熱性能、HEMSの導入、電気自動車の充電設備の設置から2項目以上をクリアすることが条件となっており、より高い水準での省エネルギー化が求められています。

普及促進を目的として補助金制度を設けている

ZEH住宅の普及促進のために、経済産業省や国土交通省、環境省の連携のもと、ZEHに関する補助金が用意されています。

対象は住宅の新築はもちろん、ZEH住宅へのリフォームも含まれており、ZEHに対応した建売住宅の購入も対象です。

補助金制度には、ZEH、ZEH+の普及を主な対象とした、環境省による「戸建住宅ZEH化等支援事業」や、ZEH+の拡大を目的とした「次世代ZEH+実証事業」、国土交通省による「地域型住宅グリーン化事業」などがあります。

補助金制度は実施期間が定められており、公募性が原則です。申請方法などは随時個別に公開されます。

ZEH住宅のメリットとデメリット

ここではZEH住宅のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

メリット

ZEHのメリットとして挙げられるのが「経済性」「快適性」「適応力」の3つです。
ZEHはエネルギー効率を向上させるため、その効果が経済効率に繋がりやすいというメリットがあります。

エネルギーを使用する量が少ないため、光熱水費がかかりにくく、市場での燃料価格の高騰などに影響を受けづらいのが特徴です。

またZEHでは断熱性を高めます。

室温が外気に奪われにくいため、一定の温度を維持しやすく、快適に過ごしやすいのがメリットです。また温度変化が小さいことは、健康面にもよい影響を与えます。

室温の急激な変化で起こる、ヒートショックによる心筋梗塞などを引き起こしにくいため、高齢者も安心して家で過ごせます。

室温変化は高齢者だけではなく、乳幼児や小さな子どもにも大敵です。ZEH住宅ではすべての年齢層に対応した、より快適な空間が作り上げられるでしょう。

またZEHのもうひとつのメリットが、非常時に対する適応性や柔軟性の高さを確保できることです。

ZEHでは創エネの設備により、エネルギー供給元が分散されます。太陽光発電や蓄電池などを備えることで、災害時や停電時のリスクを抑えられます。

デメリット

ZEHのデメリットとしてまず挙げられるのが、導入にかかる費用の高さです。

初期費用は他の一般の建築法と比較するとどうしても高くなります。また将来的には、発電システムや省エネ機器などのメンテナンス費用もかかってきます。

エネルギー効率の向上や自家発電による光熱費の削減によって、かかったコストを将来的に回収していくことになります。

また多数の機器が設置されるため、デザイン面での制約を受けることになります。ZEHの基準を満たすためにデザインを変更しなければならないこともあり、思いどおりの家に住みたいという気持ちの強い人には、ややストレスかもしれません。

ZEH補助金制度について

ZEHは政府が推進する施策であるため、住宅の取得にあたって補助金が交付されます。

ここではZEHの補助金制度について解説します。

補助金制度の種類

現在実施されているZEHの主な補助金には、「戸建住宅ZEH化等支援事業」「次世代ZEH+実証事業」「地域型住宅グリーン化事業」の3種類があります。

「戸建住宅ZEH化等支援事業」はZEH、ZEH+の普及を目的としており、環境省によって実施されています。

ZEHで1戸あたり55万円が、ZEH +では100万円が補助されます。また経済産業省が実施する「次世代ZEH+実証事業」、国土交通省による「地域型住宅グリーン化事業」などがあります。

それぞれ定額100万円、上限額140万円が支援されます。

補助金制度の要件・対象者

戸建住宅ZEH化等支援事業は、ZEHやZEH+を対象に、新築住宅を建築・購入する個人や法人を対象に実施されます。また次世代ZEH+実証事業は、新築中多雨を建築する個人が対象で、対象住宅は次世代ZEH+です。法人は対象外です。

地域型住宅グリーン化事業は法人を対象とした支援事業で、木造住宅に取り組む施工事業者や工務店が対象です。長寿命型(認定長期優良住宅)、ゼロ・エネルギー住宅型、高度省エネ型(認定低炭素住宅)の木造住宅の供給に携わることで補助金が交付されます。

補助金制度の注意点

補助金の申請は原則的に先着順です。

種類によって申し込み期間や回数が異なるので、あらかじめよく調べておきましょう。

また補助金が交付される前に建築を開始した場合は補助金の対象外となります。これは建売の購入でも同様です。

補助金の対象は、一般社団法人環境共創イニシアチブに登録されているZEHビルダーまたはZEHプランナーが設計や販売するものに限られます。

まとめ

ZEHは次世代の省エネルギー化を担う新たな取り組みです。

通常の住宅と比べて初期費用はかかりますが、継続的な利用のなかで、よりエネルギー削減に貢献した暮らしづくりが実現できます。

もちろん、経済面、健康面のメリットも多く享受できます。

ZEHは現在、政府が積極的な推進をはかっていることもあり、さまざまな補助金が用意されています。導入しやすい環境は整っているので、ぜひこの機会にZEHを検討してみてください。

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